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お礼小話的なものです。
【Trick or Treat? → Happy Halloween!】
「……え?」
言われた言葉を理解する前に、口からは情けない声が漏れた。
「だから、これあげる」
はい、と目の前に差し出されたのは丁寧にラッピングされたクッキー。
差し出すのは1学年上の知り合い。
今日が何の日であるかくらいは知っている。
家のちびっ子達が一生懸命に飾りと、お菓子を作って今日を楽しみにしていたのだから。
ただ、思いがけない相手からであることに少し戸惑ってしまった。
見知らぬ相手からでも、お菓子をもらえるのがハロウィンだと言ってしまえばそれまでなのだが。
「今日はハロウィンでしょ?」
どうやら、沈黙を『今日が何の日か』と受け取ったらしい。
だからお菓子、と彼女はクッキーを主張するように目の前で動かしてみせる。
よくよく見ると、それは手作りのようだった。
相手の好意を無碍にするということを、今の彼はするはずもないので手を伸ばして受け取ろうとする。
が、ひょい、とかわされ伸ばした手は空を切った。
「だーかーらー、『今日はハロウィン』なんだってば」
手を避けた彼女は、もう一度同じ台詞を言う。
仕方なく手を引っ込め、繰り返された台詞の中で強調された『ハロウィン』という単語と、
その行事について思い至り、
「Trick or Treat?」
そう一言呟くと、彼女─琴羽はにっこりと笑みを浮かべる。
どうやら正解だったようだ。
しかし……、
「うーん……霧鵺くんに悪戯されるのも悪くないかなー…あ、むしろこっちが悪戯したいかも」
「ええっ…!」
てっきり返事と共にお菓子を差し出して、何事もなく終わると思っていたが予想外の返答に驚きの声が漏れる。
「……冗談よ、冗談。はい、Happy Halloween!」
そして、今度こそ両手に乗せられたクッキーが差し出される。
「ありがとうございます」
しっかりとクッキーを受け取った霧鵺は、笑顔でお礼を言う。
その様子を見て琴羽は、
「霧鵺くん、ぎゅーってしていい?むしろさせて!」
「ちょ…琴羽さん!?さ…さすがにちょっと恥ずかしいですよ……」
笑顔が一転して驚きに変わり、慌てながらもなんとかやんわりと断りを告げる。
「むぅー…」
断られた琴羽は、表情にありありと不満が浮かべるがそれ以上を言うことをせずに、
「まぁ、いっか。じゃあ、また今度ね!」
と、また会いましょうねとも今度抱き締めるとも受け取れる言葉を残して、くるりと踵を返して帰っていった。
残された霧鵺は今のはどっちの意味だろうかと考え、前者であって欲しいと思いつつも貰ったクッキーを見る。
さすがに学園内で食べるのは気が引けるが、持って帰ったとしてもちびっ子たちが黙って見過ごしてはくれないだろう。
さて、どうしようかな……と悩むものの、口元には楽しげな笑みが浮かんでいた。
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